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 越中八尾「坂のまちアート」
 2006年10月5日〜10月9日  於:越中八尾
胡風居入り口 看板 展示風景
胡風居入り口 看板
作品写真(一部)
作品写真(一部) 展示風景
 剪画協会に入会した年から始めた越中八尾「坂のまちアート」への参加も6回目を数える。大崎のO美術館での日本剪画美術展とこの「坂のまちアート」が、私にとっての年間の二大行事となっている。剪画美術展では「命シリーズ」を、坂のまちアートでは「風の盆」をテーマとして勉強させて頂くようになった。
 とは言うものの、「坂のまちアート」では八尾の町屋に作品を展示するので、あまり緊張感もなく、楽しみながら参加させて頂いている。この期間、越中八尾の町に5日間滞在するので、9月の「風の盆」では見られない街並みをゆっくり堪能し、そして何よりも三味線、胡弓、歌を、お祭りとは違って普段着の町の人々が宴席で奏してくれるのをじっくりと聞けることが嬉しい。ひとたび酒が入ると出てくるのは『おわら』。奏でる胡弓をつまみに呑む酒はたまらない。哀しい時におわら、楽しい時にもおわらなのである。
 風の盆の時は歩くことさえままならぬ坂道も、寝屋に戻る事には誰ひとり歩いていない。十五夜の月を眺めながら、下手なおわら節を口ずさみ、道の両側を流れる「えんなか」の水の音と虫の音に、酔いも増して来る。展示場所の「胡風居」に戻ると、玄関に一升瓶が1本、2本…。「ようこそ来られた」とメッセージが添えられていた。
 天候不順が続き、観光気分で来た人にとっては気の毒であったが、「剪画作品」に興味のある人には座敷に上がってゆっくり見ていただく良い機会であった。
 最終日に見た夕焼けがまた凄かった。「日本の道百選」に選ばれている道の両側には、朝に白く、昼はピンクに、そして今赤く酔いしれたような酔芙蓉の花が咲き、その坂道を目で追ってゆくと、これぞ夕焼けと言わんばかりに越中八尾の空が染め上げられている。
 町中井ある小高い城ヶ山の紅葉を日本一と言うらしいので、「これも日本一の夕焼け?」と聞けば「そうだっちゃ、もうすぐ雪に閉ざされる田舎町、そうでも思わんちゃ生きていけんちゃ」と一言。こんな言葉の一つ一つも「おわら剪画」を制作する時、ふと思い出される。
 また来年!これるかな…とにかく150名くらいの応募の中から70名の参加者を厳選するらしいから。

(菅谷 茂)

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