ベルヴューのコミュニティカレッジで秋祭りが開催されました。大学の体育館や教室を借り、多くのイベントを行うものです。
柔道・空手・弓道・なぎなたなどの武道の実演、太鼓の演奏、生け花・盆栽、日本の風景を主に撮っている写真家の作品など日本に関するアートの展示、日本刺繍や着物のはぎれで作った小物のお店、おみこしやお餅つき、子供には夏の夜店のような駄菓子やおもちゃのコーナーなどなど…。毎年メインの展示が変わりますが、今年は浮世絵とうるし塗りの実演でした。
私の場所は静かな教室で、折り紙や手まり、佐賀錦などの方と一緒でした。
多くの方がいろいろな感想を聞かせて下さいました。
「是非娘に見せたいわ」とお嬢さんを連れて戻って来られた白人のお母さんと小学生ぐらいの女の子。「ほら、見てごらん。あんな小さいナイフで切るんですって。すごいわねー。」と興味津々に説明しておられました。
また、十代の子供達の感想も印象的でした。人種はいろいろですが、他の文化を学ぶという学校のプログラムで訪れた子達、或いは、日本人の先生に引率された日本語を選択している高校生の団体を多く見かけました。そのいずれの団体でも This is crazy! と言っているのが聞かれ、おかしかったです。
折り紙体験コーナーでせみの折り紙を作った子が「この折り紙作れて自分ですごいと思ってたけど、もっとすごいのがあったよー。」と笑っていた子もいました。
日本文化に興味や憧れを持つ大学生もいました。「来月日本に初めて行くんだ。今からわくわくしてるよ。」と言って、武士の絵のカードを買って行ってくれました。武士道や日本文化の精神性に魅かれるアメリカ人の方は多いようです。
切り終えた小さいカットや色紙サイズの黒和紙を台紙に貼らずに置いておいて、どなたでも手に取って見て頂けるようにしておきました。その横で切る実演もしていたんですが、いろんな段階を実物で見られるようにしていないと、でき上がりの作品だけでは、絵画(水彩画かアクリル画など)だと思うアメリカ人の方が多いようです。実際実演の真横に2004年の東京展に出展したフリージアの作品を置いてあったのですが、制作工程を説明し「このように仕上がります」とフリージアの作品を指差して初めて、「この作品も?! Oh my god!」という感じの 感想が多かったです。
日系の方や日本人の方は切り絵というものをもう知っていらっしゃる方がほとんどなので、その手法そのものに驚かれるのでなく、「郷愁を感じる絵ですね。」とか「クラスはありますか?」とかいうような一歩踏み込んだ感想が多かったです。
紙を切ることにおいて似た文化を持つ中国(韓国も?)の方が家族で何か盛んに話しておられるのも印象的でしたが、言葉が通じず残念でした。アメリカ育ちの若い中国人カップルに「中国にも似た文化がありますね。手法は似ていますか?」と聞いたのですが、「そうだと思うんだけど…」とあまり知らない様子でした。
ニューヨーク展のパンフレットがすべてなくなって「今度ニューヨークに行くのよ。次の展示はいつ?」「日本へ旅行するの。東京展はいつも夏?」というような質問も受けました。これからは次の展示の予定も用意しておくといいなあと思いました。
全体を通して、大変有意義な参加となりました。今回は協会の皆様のご協力を頂き本当にありがとうございました。もし私が先生方のもっと近くにいるのでしたら、展示の仕方などのアドバイスを頂いて、よりよい展示にできたかも知れません。ベストは尽くしたつもりですが、また写真なども送らせていただきますので、お気づきの事があればお教え下さい。
また来年の展示を楽しみにしながら、様々なプランを練っています。
(谷本佐智)
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