今、全国各地が町村合併の問題で揺れています。由緒ある地名も消えようとしています。私が現在住んでいる町も、私を育んでくれたふるさとも例外ではありません。
子供の頃、利根川の上流「桃野村」で無心に遊び、谷川岳を仰ぎ見て山野を駆け巡りました。町村合併でになった時、村の名前は消えてしまいました。学校もなくなり、新幹線の駅ができ、関越自動車道が町を横切り、風景は一変しました。
しかし、私の記憶の中にはふるさとの風景が脈々と息づいています。下絵を描く時、イメージが次々に湧き出してくるので、私は鉛筆を走らせます。山や川、道や建物、祭り暮らしなどが描いてもらいたいとでも言っているように、画面に飛び込んきます。
剪画を通して、消えていく美しいふるさとの風景を、お心に留めて頂けましたら望外の喜びです。
(石田良介)
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